書芸家SOGENの芸術論~新たなる宇宙星雲の創造~SOGENブログより〜


今日は、書芸家SOGENによる、ちょっとした芸術論をお送りします。
 
芸術とは一つの新たな宇宙星雲を創造する行為である」という仮説のもとに、
書道(書法)、現代芸術、そしてSOGENが提唱希求する『書芸』について論じています。
 
 
SOGENの芸術論~新たなる宇宙星雲の創造~
 
芸術とは、いまだかつて存在しなかった独自の宇宙星雲を創造すること。
書道は、古人が創造したさまざまな宇宙星雲を、臨書を通して追体験し味わうこと。
 
よって臨書作品は、古人が生み出した宇宙星雲の中にとどまるものであり、
いかに芸術的であっても、芸術とは言えない。

さまざまな古典学習の延長上に生み出された書作品は、宇宙の中の一つの星のようなもの
であり、中には星屑のようなちっぽけなものもあれば、燦然と輝く巨星もあるだろう。
それが一つの宇宙星雲となるには、独自の書法(宇宙の理法)を得て、一貫して作品を
作り続けることが不可欠となる。
その宇宙星雲も、到達した境地に応じて、巨大なものから小さなものまで千差万別
ということになる。

古典が素晴らしいのは、極められた一つの書法により生み出された宇宙星雲の 巨大さ、
深遠さによるものである。
書道とは、それらに匹敵する、あるいはそれらを凌ぐほどの星雲を生み出すことを希求する
芸道なわけだが、いかんせん、その星雲のあまりの巨大さに、古典を追体験したうえで、
少し自分なりの持ち味を出すのがせいぜいといったところで終わることも少なくない。

書道においては、制作の根源となるテーマや情動も重要な要素の一つではあるが、
核となるのは書法である。
書法をもって一つの宇宙星雲を生み出すことこそが第一義であり、
法こそがすべてと言っても過言ではない。
中国で、書道ではなく「書法」という呼び方をするのも、
やはり理法こそが書の核心であるという考えから来ているのだろう。
 
となると、書道(書法)においては何を書くかといったこと以上に、ある書法に基づき、
いかなる書の宇宙を生み出すかが最も重要となるわけだ。が、残念ながら、
そこまでの域に到達した現代書は稀であると言わざるをえない。

 
一方、現代芸術では、そのような理法よりも、作品を創る動機、モチーフが最重要となる。
題材、素材、表現手法といったものは、それを表すための一つの手段に過ぎない。
物議をかもした国立新美術館に展示された、会田誠さんが大布に毛筆で書いた檄文も、
書法の問題ではなく、表現したいもののために筆書を使ったのであって、
そこに現代芸術と書道(書法)の大きな違いが見て取れる。
現代芸術は、古人の到達した理法の追求ではなく、まったく異なる新たな星雲を、
独自の精神と表現によって創造していく行為なのだ。
 
 
そう思って見たとき、SOGENが提唱追求する『書芸』には、書藝術を核とした
あらゆる表現が含まれることが分かる。
そこには古典書道の習得のうえに展開される書道(書法)作品もあれば、伝統書道の経験
無しに生まれる書作品や現代アート作品もある。
また絵文字やデザイン書、筆線による抽象アート、書を活かした立体作品や映像アート
といったものも含まれることになる。
長谷川等伯の『国宝・松林図屏風』は墨絵であると同時に書芸作品でもある。
会田誠さんの檄文も、筆書を活かした点では書芸でもある。
 
ここまでが書芸で、ここからは書芸ではないといった明確な定義があるわけではなく、
あくまでもSOGENの主観による判別ではあるが、要は書芸とは書芸術の要素を持つ
あらゆる芸術表現を指すものであるということだ。
 
ということで、古典臨書に関しては、書表現における力にはなるが、芸術作品を
創造していくうえでの絶対必要条件ではない、というのが書芸のスタンスである。
 
その昔、日本で、「書は芸術か否か」といった有名な論争がなされたが、
いまだに曖昧なところがあるようだ。
が、「書は芸術ではある」というのがSOGENの持論。 そしてその中には、
書法を柱とした書独自の表現もあれば、現代芸術に寄った表現もある。
どの方向に向かうかはそれぞれの自由。
 
ただし、書法によった表現でも、古典を凌ぐまでの独自の世界を拓いて初めて書が芸術となる。
また書法に寄らない表現であれば、どのような世界観をもって何を生み出すか、
その深浅の度合いが、芸術作品としての成否と価値とを決めることになるだろう。  
 
 

書道家/書芸家SOGEN・平野壮弦 公式ウェブサイト
http://www.hiranosogen.jp/ (アート作品)
http://www.hiranosogen.com/ (デザイン書、講演、アートパフォーマンス)
http://www.sogen-arc.com/ (書を通した解放と交感の場~SOGEN書芸塾ARC~)

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